発達障害がある(といわれている) ASD 方法② 国語:物語文での気持ちの読み取りが苦手
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発達障害がある(といわれている)
ASD 方法② 国語:物語文での気持ちの読み取りが苦手
(※ ADHDかASDかは絶対的な違いではありませんが、便宜上、わけて説明しています。)
・こんな傾向はありませんか?(こういうところが見られたら当てはまるかもしれない)
・行間の機微が読めない。登場人物の気持ちに共感するのが難しい。
・登場人物の気持ちを読み取ることができず、主人公が「つらい」と感じているような場面でも、逆に「楽しいと思っている」などと答えてしまう。
・説明
発達障害、とくにASDをもつ人では「心の理論」と呼ばれる働きに「でこぼこ」があることがあります。心の理論とは、人の気持ちや心の状態、考えなどを理解する能力・機能のことです。心の理論がうまく機能していないと、「相手は今、このような状況にいるのだから、このような気持ちでいるはずだ」といった類推をすることができません。また、「皮肉」を理解することができず、乱雑な部屋について「あらあら、ずいぶん、きれいだこと」などと言われると、字義通りに受け取って、ほめられたと本気で思ってしまったりします。大人の中にも少なからず、このような方がいらっしゃいます。
たとえで考えてみましょう。どうしても乗らなければならない電車のドアが閉まりかけている場面を思い浮かべてください。次の電車だと間に合わないので、絶対に乗りたい、というとき、多少むりやりでも車内に入りたくなります。このとき、電車のドアには注目していても、周囲の人が自分をどう思うか、といったことはあまり考えません。考えていたら乗り遅れてしまいます。
これに似て、心の理論がうまく機能していない人では、その時点において自分の心に占められている刺激や考えに圧倒され、相手がどう感じているかになど気を回すことができないのかもしれません。表面的で直接的な刺激・ことばの処理に手一杯で、その裏側の真の意味や相手の感情などについて処理する余裕がないのです。
神経発達の「でこぼこ」のために、もともと処理容量が少ない上、生まれつきそのような状況が続いてきたために、心の理論が十分に発達しないままになっている可能性があります。本人の努力だけでは補えないものであり、周囲からの適切なサポートが必要です。 声を荒げたりすることなく、おだやかに接することは鉄則です。なるべくストレートな表現を使い、こちらの意図が確実に伝わるようなコミュニケーションを心がける必要があります。また絵や図を効果的に用いることで、意味が伝わりやすくなります。
さて、国語の物語文では、「ある状況があって、それによってある気持ちが起こり、そのため何らかの行動が起こる」といった因果構造を理解することが求められています。例:テストで満点だった(状況)、とてもうれしい(気持ち)、「やったあ!」と飛び上がる(行動)。ここで「やったあ!」に傍線が引いてあり、「主人公はなぜ『やったあ!』と飛び上がったのですか。枠内に答えなさい」といった設問に対して、「テストで満点だったので、とてもうれしかったから」などと回答します。
ここまで単純な構造であればわかるのでしょうが、入試などではかなり複雑な状況理解が要求されます。生徒に確認してみると、そもそも「登場人物の気持ち」以前に、文の内容を正しく読み取れていないことがしばしばあります。言葉の意味を含め、書いてある内容を理解できていないことがまず原因としてあるかもしれません。図を用いたり、情景を絵に描いたりして理解を促すのも一案です。
・生徒の対策
①登場人物になりきる訓練。俳優さんになったつもりで。
②気持ちの言葉にマーカーを引いてみよう。
③感動をいっぱいしよう。感動を探そう。
・講師のサポート
①楽しかったことや悲しかったことがあったかどうか質問してみる。なんでその気持ちになったのか質問してみる。
②気持ちを表す言葉を選んでもらう。
③機械的に、「~なので、○○な気持ち」という答え方のフォーマットを使ってもらう。
④会話をしながら、「○○な気持ちだったんだね」と、言葉を後からくっつけてあげる。
⑤「状況→気持ち→行動」の図式を当てはめる。
⑥文に書かれている状況を図や絵にする。
⑦文章を小部分で区切り、「今のところには何が書いてあった?」と確認する。
・役に立ちそうなリソース
・ソーシャルスキルトレーニング(SST):そもそも「気持ち」というものへの認識が低い場合が多いと思います。他人だけでなく自分の「気持ち」に気づいていないのです。「気持ち」にフォーカスしたワークブックやゲームが市販されていますので、試してみるのもいいかもしれません。
・人狼ゲーム:プレイヤーが村人陣営と人狼陣営の2つに分かれて戦いますが、誰が村人で誰が人狼かは、自分以外、わからないまま始まります。嘘をついたり、しらばっくれたりしながら、誰が仲間・敵かを推測しなければなりません。子どもはすぐにルールを理解して、小さな子でも楽しめます。相手の「心」を推測することが要求され、心の理論の発達に役立つゲームです。
・犯人は踊る:これも子どもに人気のあるカードゲームのひとつです。「犯人カード」を知らんぷりして他の人に回していきます。「犯人カード」を持っている人を当てれば勝ち、当てられたら負けです。それ以外のカードの指示に従って取り引きしたり情報交換したりしていきます。子どもはすぐにルールを理解して、みなやりたがります。これも心の理論の発達に役立つゲームであると言えます。
愛知東邦大学 人間健康学部 教授 松尾香弥子
SMK 薄井晶
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