WISC ワンポイントレッスンとリソース 方法④ ワーキングメモリー指標(WMI)が弱点
WISC ワンポイントレッスンとリソース
方法④ ワーキングメモリー指標(WMI)が弱点
(=WMIが低いこと、つまり平均以下にあたる場合を想定しています。)
〇こんな傾向はありませんか?(こういうところが見られたら当てはまるかもしれない)
・宿題や提出物の期限を守れない
・待ち合わせの時間に遅れてしまうことが多い
・周囲のさまざまな生活音(人の話し声、足音など)で気が散ってしまう
〇説明
【前回までのおさらい】
WISC-Ⅳとは、知能検査のひとつであり、全検査IQ(FSIQ)から、全体的な知的能力の水準を推定します。FSIQの算出には、特定の知的能力を示す4つの指標(=言語理解指標(VCI)・知覚推理指標(PRI)・ワーキングメモリー指標(WMI)・処理速度指標(PSI))が用いられます。
今回は、この4指標のうち『ワーキングメモリー指標(WMI)』について、詳しく説明していきます。
【ワーキングメモリー指標(WMI)とは?】
ワーキングメモリーについて説明する前に、“記憶”のシステムについてお話しましょう。 記憶には、「記銘→保持→再生」という3つの過程が存在します。わかりやすく言い換えると、「覚える(例:「英語の宿題が出た!」)→覚えておく(例:「提出は明日だから家に帰ったらやらないと…」)→思い出す(例:友だちと遊んでから帰宅して「そうだ!宿題やらなきゃ」と気づく)」となりますね。
このうちの保持時間で記憶を分類した場合、心理学では、短期記憶と長期記憶として理解されています。まず、短期記憶とは、まさに今この瞬間に意識上にある情報で、何度も繰り返し復唱するなど、保持するための努力(これを、リハーサルと呼びます)をしない限り、わずか30秒ほどで脳内から消えてしまうものをいいます。容量には制限があり、概ね一度に7±2単位の情報しか取り扱えないとされています。
一方、長期記憶とは、いったん意識上から遠ざかったとしても、繰り返しのリハーサルなどの段階を経て、永続的に蓄積された情報をいいます。基本的に、容量には制限がないと考えられています。
この短期記憶と長期記憶は、互いに独立した別々のシステムであることが示されており、この両者をつなぐ役割、橋渡し役として、ワーキングメモリーという概念が誕生したのです。
上の図で示したように、ワーキングメモリーとは、短期記憶を一時的にあるところに留めておき、いくつかの処理機能を追加したシステムをいいます。目で見た情報は、視空間スケッチパットで、耳で聞いた情報は、音韻ループで、それぞれ操作・処理されます。この両者は、出来事バッファでその他の情報と関連付けられ、長期記憶との相互作用が行われます。以上のシステム全体は、中央実行系でコントロールされ、これはいわゆる司令塔と想定していただければ結構です。
少しわかりにくいかもしれませんので、もう少し具体的に例えましょう。初対面のAさんのお顔は、視空間スケッチパットに、Aさんと交わした趣味の野球の話題は、音韻ループにいったん留まります。この両者が、出来事バッファによって、「Aさんは、メガネをかけていて、野球が好き」と認識され、これが長期記憶の下地となるわけです。
【WMIが苦手とは?】
ワーキングメモリー指標(WMI)の評価も、FSIQやVCI・PRIと同じく、WMI:90~110を同年代の「平均」とし、その高低から得意・不得意を推測します。
このWMIが平均を下回っている場合、目の前の課題や状況に集中しづらく、いわゆる注意散漫となりやすいことが考えられます。例えば、授業中にも関わらず、隣の席の人の様子が気になったり、廊下を通る誰かの足音に気を取られたりするでしょう。また、学校の先生や友だちから「人の話を聞いていない」などと、怒られてしまうことも少なくないかもしれません。
【注意点】
初回(FSIQの解説)でもお話しましたが、WISC-Ⅳ検査のみで、発達障害を断定することは決してあってはなりません。ただし、診断の参考になることは事実であり、中でも、注意欠陥多動性障害(ADHD)においては、今回取り上げたワーキングメモリー指標(WMI)の苦手さと関連が指摘されています。
必要な情報を適切に選び、一時的に保持しつつ、不必要になったら消去するといった一連の情報処理過程(=ワーキングメモリー)は、時間感覚の発達と大いに関連があるとされ、延いては、自己認識の形成、ソーシャルスキル等にもつながると考えられています。つまり、ワーキングメモリーが上手に機能しづらい場合、将来のイメージが掴みづらく、日々の連続性を感じられないため、たった今の情動に依存してしまいやすいのです。
【ワンポイント】
〇あなただけのルーティンを見つけてみよう!
どんなに些細なことでも構いませんので、毎日何かひとつだけでも決まったことに取り組んでみましょう。例えば、朝起きたらまずカーテンを開ける、通学時の電車は〇号車に乗る、夜寝る前に1行日記を書く(←VCIの回をご参照ください。)等々。きっちりできなくとも、たとえ三日坊主になったとしても、ゆるく長く続けてみましょう。きっとそうやって私たちの毎日は続いていくはずです。
【役に立ちそうなリソース】
・イヤホンなど
周囲の音を調整、軽減できるように、ノイズキャンセリング機能のあるイヤホンを活用してはいかがでしょうか。製品によって遮断具合は差があるようなので、まずはいろいろお試しいただくのが良いかもしれませんね。
臨床心理士・公認心理師 堤 梨乃
SMK 薄井 晶
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