WISC 生徒の対策と講師のサポート ⑩ PRI >PSI またはPRI<PSI の差が大きい
WISC 生徒の対策と講師のサポート ⑩ PRI >PSI またはPRI<PSIの差が大きい
PRI >PSI またはPRI<PSIの差が大きい
(→PRI・PSIの関係に注目し、解説します)
〇こんな傾向はありませんか?(こういうところが見られたらあてはまるかもしれない)
・あれこれ考える前に、直感的に行動・判断する
・いわゆる“その場の空気”や、相手の表情などを敏感に察知する
→PRI優位(かもしれません)
・即断即決、行動に迷いがないタイプ
・いわゆるルーティン作業が苦にならない
→PSI優位(かもしれません)
〇説明
【前回までのおさらい】
WISC-Ⅳ検査では、全体的な知的能力の水準(FSIQ)が推定されます。FSIQは、以下の4指標(VCI・PRI・WMI・PSI)に基づき、算出されます。
|
言語理解指標(VCI) |
言葉を理解する力・表現する力の推定値 |
|
知覚推理指標(PRI) |
言葉以外の情報から推論する力の推定値 |
|
ワーキングメモリー指標(WMI) |
耳から聞いた情報を記憶する力の推定値 |
|
処理速度指標(PSI) |
目で見た情報を素早く処理する力の推定値 |
先の表の通り、方法②~⑤までは、個別の指標が、具体的にどのような知的能力を推定しているのか、解説してきました。ただし、私たちが普段何気なく行う(知的)活動は、ひとつの指標が独立して働いているのではなく、それぞれの指標同士が相互に関連し合ってもいるのです。
よって、ここからは、指標と指標の関係性に注目していきましょう。今回は、『知覚推理(PRI)と処理速度(PSI)』の関係について考えてみましょう。
【PRIとPSIの関係】
まず、PRIとPSIには、大きな共通点があります。それは、両者とも“処理すべき情報が視覚的に提示される”という点です。以前、方法⑤「PSIとは?」にて、PSIは“見る力”が必要とされる、と説明をしましたが、同じようにPRIでも“見る力”が問われます。
一方、PRIとPSIの大きな違いは、“答え(≒ルール)”の有り様です。PRIの課題は、目で見た情報をもとに、何かしらの規則や法則を推理したり、頭の中(心の中)で展開したりします。つまり、受検者自身が答え(≒ルール)を導き出さなければなりません。一方のPSIの課題は、目で見た情報通り、定められたやり方に沿って、一定時間処理し続けることが求められます。つまり、受検者が答え(≒ルール)にどれくらい従うことができるのかが問われるのです。
〇生徒の対策
PRI優位の場合:
・思い切りの良さを活かそう!
直感的なインスピレーションに長けているでしょう。その時々の“ひらめき”を大事にしたいものです。この“ひらめき”を次につなげるために、できる限り「記録に残しておく」ことも重要かもしれません。一瞬、一瞬の積み重ねで、さらに応用力が鍛えられるかと思います。
・「わかった」ものは、手を動かして反復しよう。
せっかく理解したことも反復して作業しなければ記憶として定着しません。手を動かすことが苦手かもしれませんが、やり方が分かっただけでは、正しく答案に反映できませんね。お料理番組でお味噌汁の作り方をみてわかることと、家族においしいお味噌汁を実際に創ってあげることは違いますよね。お味噌汁は何度も何度も作る練習をする必要があります。
PSI優位の場合:
・知的な瞬発力の高さを活かそう!
先に記した通り、“思考を切り替えること”が上手にできるでしょう。普段から、それほどくよくよ悩んだり、尻込みしたりすることは少ないかもしれません。一方で、その場その場で興味関心が移ろいやすい面もあるように想像されます。勉強に取り掛かる前に、はっきりしたスケジュールを決め、予め先の見通しを持っておくことをお勧めします。
・ときどきは、「どうしてこうするのか、考えてみよう」
ルールに対する変化球に弱い可能性もあります。「できる」だけではなく、どうしてそうするのか時々は考える訓練をしてみましょう。
〇講師のサポート
PRI優位の場合:
・できる限り視覚情報を併用し、“切り替え”を促しましょう!
相対的にPSIが低くある場合、周囲と足並みを揃えることに困難を示しやすいでしょう。一見何かに集中しているように見えても、取り組むべきことではないことを必死に考え込んでいたり、過ぎ去ってしまったことをくよくよ悩んでいたりもします。口頭で“切り替え”を促すだけでなく、実際の行動で見本を示し、“今”にこそ視点を合わせられるとより良いように思います。
・なるべく説明を省く。
説明が邪魔をする可能性があります。言葉で言いたいところをぐっとこらえて、むしろ資格情報(身振り手振り、指差しなど)で捕捉しましょう。
PSI優位の場合:
・「わかる」「できる」体験で、モチベーションアップにつなげましょう!
理論や理屈を前提とした学習より、実体験に即した学習のほうに適応があるでしょう。「わかった!」「できた!」と手ごたえを感じられること、またその感覚を指導者と共有できるとより良いように考えます。加えて、学習のスケジュールは、予めしっかりと決め、ルーティンとして馴染ませることで、生活のリズムにもプラスの側面が期待できるかもしれません。
・まずやってもらう。真似をしてもらう。
「習うより慣れよ」の生徒です。間違ったときに、理屈を説明して修正するよりも、「このこのときはこう」と説明してあげたほうが良いでしょう。
臨床心理士・公認心理師 堤 梨乃
SMK 薄井 晶
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