WISC 生徒の対策と講師のサポート ⑨ PRI >WMIまたはPRI<WMIの差が大きい
WISC 生徒の対策と講師のサポート ⑨ PRI >WMIまたはPRI<WMIの差が大きい
PRI >WMIまたはPRI<WMIの差が大きい
(→PRI・WMIの関係に注目し、解説します)
〇こんな傾向はありませんか?(こういうところが見られたらあてはまるかもしれない)
・あれこれ考える前に、直感的に行動・判断する
・いわゆる“その場の空気”や、相手の表情などを敏感に察知する
→PRI優位(かもしれません)
・突発的な出来事でも、それほど動揺せず対応できる
・マルチタスクが苦にならない
→WMI優位(かもしれません)
〇説明
【前回までのおさらい】
WISC-Ⅳ検査では、全体的な知的能力の水準(FSIQ)が推定されます。FSIQは、以下の4指標(VCI・PRI・WMI・PSI)に基づき、算出されます。
言語理解指標(VCI) 言葉を理解する力・表現する力の推定値 知覚推理指標(PRI) 言葉以外の情報から推論する力の推定値 ワーキングメモリー指標(WMI) 耳から聞いた情報を記憶する力の推定値 処理速度指標(PSI) 目で見た情報を素早く処理する力の推定値
先の表の通り、方法②~⑤までは、個別の指標が、具体的にどのような知的能力を推定しているのか、解説してきました。ただし、私たちが普段何気なく行う(知的)活動は、ひとつの指標が独立して働いているのではなく、それぞれの指標同士が相互に関連し合ってもいるのです。
よって、ここからは、指標と指標の関係性に注目していきましょう。今回は、『知覚推理(PRI)とワーキングメモリー(WMI)』の関係について考えてみましょう。
【PRIとWMIの関係】
まず、方法④で示したワーキングメモリーの図解を使用し、再度説明してみましょう。
ワーキングメモリーとは、短期記憶を一時的にあるところに留めておき、いくつかの処理機能を追加したシステムをいいます。このとき目で見た情報は、視空間スケッチパットで、耳で聞いた情報は、音韻ループで、それぞれ操作・処理されます。両者は、出来事バッファでその他の情報と関連付けられ、長期記憶の下地となる、と説明しました。
実は、WISC検査で取り扱っているワーキングメモリーは後者のみ、つまり、「聴覚情報」をもとに、音韻ループで操作・処理する力を主ターゲットとしているのです。
一方でPRI課題は、問題の解き方こそ口頭説明ですが、提示される情報はすべて「視覚情報」です。よって、先のWMI≒聴覚処理の力を評価する指標と捉えると、PRI≒視覚処理の力を評価する指標といえるでしょう。
〇生徒の対策
PRI優位の場合:
・思い切りの良さを活かそう!
直感的なインスピレーションに長けているでしょう。その時々の“ひらめき”を大事にしたいものです。この“ひらめき”を次につなげるために、できる限り「記録に残しておく」ことも重要かもしれません。一瞬、一瞬の積み重ねで、さらに応用力が鍛えられるかと思います。
・自分でまとめ直してみよう
先生の説明や、教科書の文章が分かりにくいことも多いかもしれませんね。自分が分かればよいのですから、頭に入りやすいように、自分でまとめ直してみましょう。蛍光ペンで色分けしたり、吹き出しを付けたりして、分かりやすいように楽しく工夫してみましょう!
WMI優位の場合:
・短期記憶の得意さを活かそう!
興味を持った課題は、とことん追求・挑戦してみましょう。先と通ずる部分ですが、その時々の“ひらめき”を大事にしたいものです。ただし、やはりできる限り「記録に残しておく」ことは必要でしょう。記憶の蓄積を意識することで、短期記憶→長期記憶のつながりがよりスムーズになるかと思います。
・説明を求めよう!
どうすればよいのか見当がつかないときには、口頭での説明をお願いしてみましょう。するべきことがクリアになるかもしれません。
〇講師のサポート
PRI優位の場合:
・できる限り視覚情報を併用し、“抜け”を未然に防げるように! 相対的にWMIが低くある場合、いわゆる“抜け”が生じやすいかと思います。一見聞いている様子に見えても、実は別の考え事で頭がいっぱいだったり、その他の情報に注意が向いてしまっていたりもします。口頭で指示を与える際は、できる限り、視覚的な情報と併用して提示することがより良いでしょう。
・説明は、簡潔に。
難しいことではありますが、なるべく短い、適切な言葉を、補助的に用いましょう。長々と説明するとかえって混乱するかもしれません。
WMI優位の場合:
・適宜“新奇課題”を導入し、モチベーションアップにつなげましょう!
基礎基本の学習は必要不可欠ですが、あまりに単調で変化のない課題ばかりでは、勉強そのものモチベーションが低下してしまうかもしれません。適宜、イレギュラーな課題に挑戦してもらうなど、好奇心をくすぐることで、学習に張り合いが生まれるように思います。
・定着の作業を忘れない。
前項とは逆のことですが、言葉での活発なやり取りこそ適応のある生徒であるからこそ、その場限りにならないように、定着のための反復の機会を忘れずに与えましょう。せっかくのいい考えが身につけば、それに関連してまた新しいことができるようになることでしょう。
臨床心理士・公認心理師 堤 梨乃
SMK 薄井 晶
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